業務上横領の定義
そもそも横領とは、他人の財物を不法に自分のものにすることを指します。
その中でも、業務上横領とは会社から預かって管理している金品を不法に自分のものにしてしまうことを指します。経理業務等、金銭管理を任されている従業員が金銭を着服する、売上金の管理を行う店長が売上を過少申告して差額を着服する、といった行為は業務上横領にあたります。
業務上横領を行った社員に対しては、次のような措置を取ることが可能です。
2023.04.25
2023.05.16
法人トラブル
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コンプライアンス違反
現金
トラブルなんでも解決屋の越谷です。
魚沼の漁協職員による横領事件が話題になっていますが、民間企業においても従業員による横領等のトラブルは珍しい話ではありません。
今回は、従業員による業務上横領の疑いがある場合の対処方法について解説します。
そもそも横領とは、他人の財物を不法に自分のものにすることを指します。
その中でも、業務上横領とは会社から預かって管理している金品を不法に自分のものにしてしまうことを指します。経理業務等、金銭管理を任されている従業員が金銭を着服する、売上金の管理を行う店長が売上を過少申告して差額を着服する、といった行為は業務上横領にあたります。
業務上横領を行った社員に対しては、次のような措置を取ることが可能です。
業務上横領を行った社員に対し、企業の就業規則に基づき、懲戒解雇や懲戒減給等の懲戒処分を行うことが考えられます。
①懲戒解雇
懲戒解雇は、懲戒処分における最も重い処分で、従業員に対して制裁として行う解雇となります。
・解雇予告や解雇予告手当を支払わずに即日解雇にできる場合がある
・退職金の一部、あるいは全額不支給にできる場合がある
といった特徴があります。
②懲戒減給
懲戒処分として、従業員の給与を減らすことを指します。
なお、労働基準法第91条によって、次のように減給できる限度額が規定されています。
・1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えないこと
・減給の総額が賃金の総額の10分の1を超えないこと
被害金額が大きい場合や本人が横領の事実を認めない場合、民事訴訟を起こして解決するケースがあります。横領被害にあった場合、該当の従業員に対して横領によって生じた損害について損害賠償請求を行うことができます。
該当の従業員を刑事告訴することで、処罰を求めることも可能です。会社側が告訴・告発することで警察による捜査が行われ、裁判で有罪となる可能性があります。有罪となった場合、刑法253条で最大10年以下の懲役に処されます。
ただし、警察などの捜査機関に対する告訴が受理されるためのハードルはかなり高く、そもそも告訴を受理してもらえなかったり、受理されたとしても長期間を要する場合があります。
捜査機関は、確実に証拠がある部分しか被害額として認定しないため、実際の被害額よりも少ない金額で認定されてしまうことがほとんどです。犯人からの弁償額もその金額に限定されてしまうリスクも存在します。
なお、業務上横領を理由に該当の従業員を解雇した後、その従業員から不当解雇であるとして訴えられることがあります。この場合、会社側が提出した証拠が不十分であるとして、会社側が敗訴となることも少なくありません。
そのようなことにならないよう、事前に証拠を集めておくことが重要です。
業務上横領の疑いがある場合、前述の通り証拠を集めることが必要不可欠です。
社員に対する法的措置を取るためには、 以下のような証拠を押さえておく必要があります。
・会社の銀行口座から不正にお金を振り込んだ履歴が記帳されている通帳
・会社備品等が売却された際の領収書
・会社のお金を着服して失くしたと嘘をついた証言の録音データ
・会社の金品を横領している現場の録画データなど
業務上横領の証拠を集める際、本人に気づかれずに調査を進めることが最も重要といえます。
疑いのある従業員を呼び出し、個別に事情を詳しく聞き出そうとする方が多いですが、こういった行為は逆効果になる可能性が非常に高いため、控えるのが無難です。呼び出しを受けたことで、証拠隠滅をはかったり、データを改ざんしたり、最悪の場合、証拠隠滅したまま逃走して行方不明になったりという可能性があるためです。
なお、証拠を集める際、社内外で調査を行う必要がありますが、会社が従業員の業務外の行動を調査するのはプライバシーの観点から困難です。さらに、該当社員に知られてしまうケースも多いため、探偵事務所の社内調査や素行調査の利用も有効といえます。
該当の社員の潜入調査、尾行・張り込み、インターネット調査等、当事者に知られることなく情報収集できるため、横領の決定的な証拠をおさえることが可能です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
社内で横領の疑いが発覚した場合、本人への処分や民事・刑事訴訟の手続きを行う前に、確たる証拠を集めることが必要不可欠です。
弊社でも業務上横領の疑いがある社員への素行調査を行っています。
まずはHPからお問い合わせください。