2023.09.30
2024.06.19
法人トラブル
社内調査
いじめは言った者勝ち? 身に覚えがないのに加害者にされてしまったら

いじめは自分より立場が弱い人に対して精神的・身体的に苦痛を与える行為で、絶対に許されるものではありません。
しかし、職場や学校において、「実際にはいじめをしていないのに、いじめの加害者にされてしまう」ということも起こり得ます。
このようないじめの冤罪を晴らすためにはどのような対応をすればいいのでしょうか。また、冤罪をかけられた場合は相手を訴えることはできるのでしょうか。
今回は、いじめたという事実がないにもかかわらず、いじめの加害者にされてしまったときの対応について解説します。
いじめの冤罪とは
いじめの被害者は、一生のトラウマを抱えたり、引きこもりになったり、最悪の場合死にいたることもあります。いじめは傷害罪や暴行罪、強要罪、恐喝罪、侮辱罪、名誉毀損罪、場合によっては殺人罪、不同意わいせつ罪、暴力行為等処罰法などに該当する犯罪行為です。
日本では、1980年代ごろから教育現場で注目されるようになり、1990年代になって深刻な社会問題としてとえられるようになりました。当初は学校内における問題だと認識されましたが、学校内にとどまらず、会社など社会のさまざまな場所でおこります。
いじめの認知件数は、調査開始が開始されてから増加傾向にあり、被害者と会社側・学校側が対立するケースも増えています。その中では、実際にはいじめていないにもかかわらず、いじめの罪を着せられてしまういじめの冤罪も生じています。
会社側・学校側がきちんと調査をすれば冤罪であることは明らかになりますが、対応を一歩間違うと、大変な問題に発展してしまう可能性があります。
放置するのは危険 いじめは罪に問われることもある
いじめの加害者は、たとえ未成年であっても法的責任が発生する場合があります。
いじめが抵触する可能性がある刑罰法規としては、
- 強制わいせつ(刑法第176条)
- 傷害(刑法第204条)
- 暴行(刑法第208条)
- 強要(刑法第223条)
- 窃盗(刑法第235条)
- 恐喝(刑法第249条)
- 器物損壊(刑法第261条)
などがあげられます。
たとえば、
- 肉体的な暴力:刑法第208条「暴行」、刑法第204条「傷害」など
- 精神的な暴力は刑法第223条「強要」、刑法第176条「強制わいせつ」、刑法第222条「脅迫」、刑法第230条「名誉棄損」、刑法第231条「侮辱」など
- 金品を要求したり破壊するような行為は刑法第249条「恐喝」、刑法第235条「窃盗」、刑法第261条「器物損壊等」など
- インターネットを利用したいじめでは刑法第230条「名誉棄損」、刑法第231条「侮辱」などに該当する可能性があります。
このように、いじめは犯罪行為として重大な問題となる可能性があるので、身に覚えがないのにいじめの加害者にされてしまった場合でも、放置していると大変危険です。
問題が発生した場合は、できるだけ早く対処するのが望ましいでしょう。
いじめの冤罪を受けたときの対処方法
いじめの冤罪を受けた場合には、以下の相談先に相談をするのがよいでしょう。
公的な相談窓口
いじめに関する問題については、政府や各都道府県などの公的機関が相談窓口を設置して対応しており、いじめの冤罪についても相談することができます。
民間の相談窓口
公的機関以外にも、NPO法人などの民間団体も相談窓口を設置しています。
専門家に相談する
いじめの冤罪によって処分を受けた場合や、相手に対して法的責任を問いたい場合には、自身だけでは対応が難しいでしょう。このような場合には、いじめの問題に精通した専門家に相談するとよいでしょう。より早く、確実に問題の解決につながります。いじめによる被害に対しては、慰謝料請求の訴えをおこすことができます。
いじめの冤罪は名誉毀損になるのか
いじめの冤罪に対して、加害者とされた側は、相手を名誉毀損で訴えることができるのでしょうか。
名誉毀損とは、他人の名誉を傷つけ、損害を与えることをいいます。いじめの冤罪についても、次の場合は名誉毀損にあたる可能性があります。
公然
不特定または多数の人に事実が伝わる状態のことを「公然」といいます。
多くの人がいる状況で、いじめの冤罪をかけられた場合は公然性の要件を満たしているといえます。
事実の摘示
「事実の摘示」とは、具体的な事実内容を示したことをいいます。
名誉毀損が成立するには「事実の摘示」が必要となります。
社会的評価の低下
事実の摘示により、相手の社会的地位が低下する可能性があるときは、名誉毀損が成立します。事実でないにもかかわらずいじめの加害者にされてしまった場合も、その人の社会的評価は低下しますので、名誉毀損が成立します。
ただし、次の要件をすべて満たす場合は、名誉毀損は成立しません。
事実の公共性がある
「公共性」とは公的な職業の人に関するものですが、社会的な影響力が強い人に関するものも広く認められています。
いじめに関しては、個人間の問題になるので、公共性は否定される可能性が高いといえます。
公益を図る目的がある
一般、または一定の組織内で広く知らせるべき正当な目的であることをいいます。単なる自己満足や好奇心で事実を摘示した場合は、公共性があったとしても名誉毀損の責任が生じます。
事実が真実である
真実であると信じるべき、正当な理由や根拠があることをいいます。
いじめが冤罪である場合は、事実の真実性を満たすことはありませんので、名誉毀損の責任を免れることはできません。
以上のことを踏まえ、いじめの冤罪が名誉毀損にあたる場合は、刑事告訴か損害賠償請求を行うことができます。
刑事告訴
名誉毀損は、刑法230条1項に該当する犯罪行為です。いじめの冤罪によって名誉毀損した相手に対して、刑事上の処分を与える場合には、警察に刑事告訴することができます。
名誉毀損罪は3年以下の懲役か禁錮、または50万円以下の罰金と規定されています。
損害賠償請求
名誉毀損による被害者は、いじめ冤罪の加害者に対して、慰謝料などの損害賠償請求をすることが可能です。
このような場合にも、専門家のアドバイスが非常に役立ちます。
最後に
いじめの問題は非常に対応が難しく、特に自身が加害者とされてしまった場合だと、対応を誤ると問題が悪化して取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
そうならないよう、やはりいじめ問題を取り扱っている専門家に相談することをおすすめします。
専門家に相談することで、
- 具体的な対策のアドバイス
- 法的な対応のアドバイス
- 会社との交渉
といった対応を迅速かつスムーズに進めることができるでしょう。会社や学校に相談しても改善されないような場合でも、専門家に相談することで確実に解決に向かうことが期待できます。
また、自分で会社や学校を交渉する場合とくらべ、時間的・精神的な負担が軽減されるでしょう。
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いじめの問題に関しても、対応方法をご相談いただけます。お悩みの場合はぜひ、お気軽に「トラブルなんでも解決屋」にご相談ください。
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