2023.05.16
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スタートアップ経営者は知っておくべき、「M&A・バイアウト・IPO」を妨げる反社会的勢力について-前編-

トラブルなんでも解決屋の越谷です。
反社会的勢力について正しく理解していますか?
反社であることを知らずに関係を持ってしまったり、社内の人間に反社が紛れ込んでいたために上場廃止・資金調達失敗といったトラブルに巻き込まれてしまうといったケースが実は少なくありません。ドラマの世界の中だけの出来事と思って対策を後手にしている方も多いですが、実は意外と身近に存在しています。
そこでスタートアップの経営者の皆さまに是非知っておいていただきたい、M&Aやバイアウト、IPOを妨げてしまう反社会的勢力について、前編と後編の2回に分けてお伝えします。
そもそも反社会的勢力(反社)とは
暴力や威力、あるいは詐欺的な手法を駆使し、不当な要求行為により、経済的利益を追求する集団や個人のこと。また暴力団や暴力団関係企業、半グレ集団などの犯罪組織及びその関係者のことを指します。
暴力団対策法によって、各都道府県で一定の要件を備えた反社会性の強い団体が「指定暴力団」として指定されています。また、表向きは一般企業のように振る舞っていながら警察の目をかいくぐって詐欺行為等を行なっている暴力団も数多く存在しています。ゆえに、蓋を開けたら暴力団と関わってしまっていた…というケースは少なくないのです。
反社との関わりが明らかになり問題になったケース
ここでは反社に関連する実際に起こった事例についてご紹介します。
①「反社との関わりなし」と虚偽記載し上場廃止
CD-ROMやDVDなどの光ディスクを製造する「オプトロム」は、2006年の上場後も、事業を着実に拡大し、新規事業も実施していました。しかし2015年に上場廃止となります。その理由は、割当予定の企業について外部から「反社や違法行為との関わりと懸念がある」との情報を得ていたにもかかわらず、有価証券報告書に「反社との関わりはない」と嘘の記述を行ったためです。
この事件はオプトロム事件とも呼ばれており、反社との関係が明るみになったことによって上場廃止になった実例として、事件から数年経った現在でも忘れ去られることなくネット上に多数の情報が残されています。
②反社との関わりが明らかになり倒産
大分県に本社を置いていた建設会社「九設」は、社長が暴力団関係者と食事等をしていたことで、福岡県警から暴力団と「密接な交際、または、社会的に非難される関係」を持っていると公表され、公表から2週間後に倒産しました。このように暴力団との関係を認定されると、公共工事から排除される排除措置の対象となるため、対外的な信用が失われ口座凍結や取引中止が相次ぐなど経営が行き詰まり、破産申立てに至りました。
「九設」の社長は、毎月1回「異業種交流会」という名目で暴力団組長との食事会に参加していたと言われています。年商約50億円、業績良好な大手企業でしたが、反社との関わりが明るみになったことにより、約2週間で破産申請に至った事件として大きなニュースになりました。
なぜ取引先が反社であることに気付けないのか
反社の疑念があると分かっていながらも関係を断つことができずに上場廃止や倒産に陥る場合もあれば、一見普通の企業と思っていた会社や人物が反社会的勢力と関わりがあったために、最悪の事態に至るケースも少なくありません。
近年は暴力団対策法等によって取り締まりが強化されたため、反社による明らかな暴力行為等は減少しています。その代わり、企業活動や政治活動を標榜することで反社とわからないようにして活動を行う場合が多いです。舎弟企業やフロント企業と呼ばれる企業は、暴力団の構成員や関係者が役員を務めており、表向きには通常の企業活動を行なっているものの、暴力団に資金を提供しているのです。また、こういった企業に関しては、何かの事件をきっかけに反社であるということが明らかになりますが、その後も別の代表者を立てて新しい会社を設立したり、何度も移転登記するなどしてフロント企業であることがわからないようにすることで、反社の活動を続けています。そのため、反社との関わりがあるか否か、見極めるのが非常に難しいのです。
どうして反社勢力と繋がってしまうのか
上記のように、実は反社である企業と関わりを持ってしまうケースに加えて、ここ数年では社長が反社の人物と個人的に繋がってしまうようなケースも少なくありません。
ここでは反社勢力が企業にどのように入り込んでくるのか、代表的なパターンについて解説します。
食事会や飲み会を通じて出会う
クラブやバー、異業種交流会といった出会いの場で代表本人に近づいてくるケースです。仕事やプライベートのことについて相談する中でいつの間にか親しい関係になってしまい、気づいたらその人が反社だった…そんなケースはここ数年で非常に増えています。経営に行き詰まっている、株価が上がらないなど苦しい状況で反社勢力につけ込まれると、事態はさらに悪化してしまいます。
採用した社員が反社だった
リクルートした相手が反社関連の人だったというケースです。求人に対して応募してきた人材よりも、会食で知り合った人や紹介を通じて出会った人がその筋の人だった…という場合が多いです。表向きには別の仕事をしているケースも多く、一見反社であることに気付けないパターンも多いため、注意が必要です。上場前の審査で明らかになる、週刊誌に書かれる、投資家から指摘されるなどのきっかけで発覚することがほとんどです。
トラブルの対応や仲裁を口実に近づいてくる
経理不正やパワハラといった社内での問題から、投資家や取引先とのトラブルなど社外との問題への対応や仲裁の名目で、代表個人や会社に近づいてくるケースです。会社の危機に助け舟を出してくれるような形で関係を構築することとなってしまい、問題が明るみになるのを恐れて悪循環が続いてしまうことも多いです。
安易に相手のことを信用して情報を開示すると、弱みに漬け込まれてしまうリスクが高いため注意が必要です。
このような反社との関わりを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。
後編では、反社勢力に対してどのような対策をとるべきか解説します。
後編はこちら>>>
こんな会社には要注意
前編にて解説した通り、取引先の企業が反社であった、というパターンはとても多いです。次のような特徴に当てはまる会社には気をつけることをおすすめします。
・過去に反社との関わりがあった企業
一度でも反社との関係があった会社に関しては、裏で現在も繋がっている可能性があります。取引にあたっては、実態をきちんと調査することが重要といえるでしょう。
・トレンドの事業領域の企業
ここ数年での仮想通貨やNFT、AR・VRなど、トレンドとなっている事業には投資が集中することが多いです。ゆえに法令整備が追いつかず、反社勢力の温床となっているようなグレーな企業も多数存在するのが事実です。
・危険な地域やビルに在籍する企業
その筋の会社が集まる地域やビルというものが存在します。こういった場所にオフィスがある企業に警戒して損はありません。
・明らかに悪い評判が立っている企業
悪い評判が目立つ企業は、反社との繋がりが存在する可能性があります。根拠のない噂の場合ももちろんありますが、悪い評判になっている場合は念入りな調査が必要です。
どう対策していくべきか?
反社との繋がりを防ぐには、取引を行う前に次のような方法でチェックすることを強く推奨します。
・日経テレコンや帝国データバンク等のデータベースで調査する
新聞・雑誌の記事をまとめて検索することができる日経テレコンや、調査会社がまとめた企業情報をチェックできる帝国データバンク等を用いて、取引相手の関係者が過去に関わった事件がないか、会社間で何らかのトラブルを起こしていないか、等を調べることができます。
ただし、設立したばかりの会社であれば情報が出てこなかったり、未だ公になっていない情報については入手できないというデメリットがあります。
・調査会社に調査を依頼する
調査会社や探偵に調査を依頼することで、データベースよりも詳細な情報を集めることができます。過去起こった事例の他にも、取引先企業の現状動向の情報についても入手できる可能性があるため、ここぞという時にはこのような会社に依頼することをおすすめします。
従業員に対する反社チェックも必須
取引先企業について調べることに加えて、新しく採用する社員についても注意が必要です。新卒・中途問わず、採用候補者が反社との繋がりがないか調査し、事前にリスクをなくしておくことが必須と言えます。
特に役員や幹部候補については本人をはじめ、親族や関係者についても反社との関わりがないか、チェックを行う必要があります。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
反社会的勢力は、一度でも関わってしまうと取り返しのつかない事態に陥る可能性が非常に高いです。新規取引や採用を実施する前に、取引先企業や採用候補者に対し、反社との繋がりがないか調べておくことで安心に繋がります。
弊社でも、企業や採用候補者に対する反社チェックを実施しています。調査を実施する中で、対象者と反社との接点が発覚してしまったケースも実は珍しくありません。
プロの調査チームと卓越した調査技術を持つプロの探偵との二軸で、反社会的勢力との関連がないか徹底的に調べます。
無料相談も承っていますので、まずはHPのメール相談もしくはLINE相談からお問合せください。
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