従業員から不当解雇で訴えられてしまったら?判断基準や実際の対処法を解説

2024.03.21

2024.03.21

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従業員から不当解雇で訴えられてしまったら?判断基準や実際の対処法を解説

不当解雇と判断される基準

従業員を解雇する際には、会社側として「不当解雇」と後から裁判所に判断されるリスクを常に意識しておく必要があります。不当解雇と認定された場合解雇は無効となり、会社は解雇した従業員を復職させ解雇期間中の給与も遡ってまで支払わなければなりません。

 

このように不当解雇は経営者側にとって大きなリスクとなるため、従業員の解雇を検討する際は、事前に専門家である弁護士に相談することが非常に重要です。弁護士に相談することで、解雇が不当と判断されるリスクを最小限に抑えることができます。

 

本記事では、まず不当解雇と判断される基準について解説します。続いて、正当な解雇事由としてどのようなケースが考えられるかを具体例を挙げて説明します。そして最後に、万が一元従業員から不当解雇を理由に訴えられてしまった場合の対処法について詳しく見ていきます。

不当解雇と判断される基準

不当解雇かどうかの判断基準は、労働契約法第16条に定められています。

 

同条によると、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効」と規定されています。

 

つまり、不当解雇と判断される要件は大きく2つあり、

 

  • 客観的に合理的な理由がない場合
  • 社会通念上相当と認められない場合

のいずれかに該当する解雇は、権利の濫用として無効と見なされます。

 

両方の要件を満たしている場合のみ、解雇は有効と判断されることになります。使用者側は、解雇理由として客観的に合理的な理由があることを主張立証する必要があるだけでなく、その解雇理由が社会通念上相当なものであることも併せて立証する必要があります。

 

実務上、裁判所は使用者側に対して厳しい判断基準を適用する傾向にあり、不当解雇と認定されるリスクは決して小さくありません。そのため、従業員の解雇を検討する際は、慎重な検討が求められます。

 

正当な解雇事由の具体例

次に、解雇が正当と認められる可能性がある主な事由について、具体例を挙げて解説します。

会社の経営不振による整理解雇・リストラ

経営が悪化し人員削減が経営上の必要性として認められる場合、一定の要件の下で整理解雇やリストラは正当な解雇理由と認められる可能性があります。ただし、人員削減の必要性が具体的に認められること、解雇対象者の選定が合理的な基準に基づいていること等が前提条件となります。

 

勤務態度不良を理由とする解雇

勤務実績が悪い、遅刻・欠勤の常習、職場規律の無視など、勤務態度に問題がある従業員に対する解雇が正当と認められる場合があります。ただし、勤務態度不良の程度、指導監督の経緯、反省の有無など総合的に評価されます。

 

経歴詐称を理由とする解雇

入社時点で重要な経歴について詐称していた場合、就業規則に経歴詐称を解雇事由と定めていれば、解雇が正当と認められる可能性があります。ただし、詐称された経歴が採用の決め手となった重要なものであることが前提となります。

 

重大な非行による懲戒解雇

横領、重大な暴行、長期無断欠勤など、極めて重大な非行があり、就業規則に即時解雇事由が定められていれば、使用者による懲戒解雇が正当と認められる場合があります。ただし、その非行の内容や程度が、解雇に値するかは厳しく評価されます。

 

いずれの場合も、客観的な解雇理由の存在を示す十分な証拠が必要不可欠です。また、社会通念上も解雇が相当なものと認められることが求められます。

 

元従業員から不当解雇を理由に訴えられた場合の対処法

弁護士に依頼する

元従業員から不当解雇を理由に訴えられた場合、使用者側は適切な対応を取らなければなりません。この種の事案では、会社内の法務部門だけで対応するのは極めて難しいため、早期に専門の弁護士に依頼することが賢明です。

 

弁護士に依頼すればより有利な立場から交渉や訴訟を行えるだけでなく、使用者側の主張や証拠の準備も適切に行えます。特に労働審判の場合、第1回期日までに使用者側から十分な準備を求められるため、早期の弁護士依頼が不可欠です。

 

提出が求められる証拠資料

不当解雇訴訟では、使用者側に解雇の正当性を立証する責任があります。そのため、以下のような証拠資料を準備する必要があります。

  • 解雇に関するやり取りの証拠(メール、録音データなど)
  • 解雇事由に相当する従業員の非行の記録
  • 解雇の適否を検討した際の会社の議事録 など

これらの証拠資料は、訴訟が発生してから慌てて集めるのではなく、従業員への指導経緯や解雇検討過程の中で、事前に確実に記録・保存しておく必要があります。

また、不当解雇訴訟では使用者側の対応にも厳しい評価が下されるため、専門家である弁護士と綿密に連携して、適切な対応を心がける必要があります。

 

まとめ

従業員の解雇は、使用者側にとって様々なリスクが伴う重大な決断です。特に不当解雇と判断されれば、解雇が無効となり、従業員の復職や遡及給与の支払い義務が発生するなど、経営上の大きな打撃を被る可能性があります。

 

そのため、解雇を検討する際は、客観的合理的理由の有無と社会通念上の相当性の両面から、事前に慎重な検討を重ねる必要があります。場合によっては、代替案としての配置転換や退職勧奨なども視野に入れるべきでしょう。

 

万が一、元従業員から不当解雇を理由に訴えられてしまった場合には、トラブルなんでも解決屋にご相談ください。トラブルなんでも解決屋には、様々な専門分野のプロフェッショナルが在籍しており、最新の機器や証拠収集能力、調査技術などを駆使して、迅速かつ確実な問題解決に全力を尽くします。

 

不当解雇事案では、適切な証拠の準備が重要になります。トラブルなんでも解決屋の探偵やITの専門家が、メールや録音データ、従業員の非行記録、解雇検討時の会社の議事録など、必要な証拠を確実に収集いたします。そして、司法書士や弁護士が、収集した証拠に基づいて、使用者側の主張立証を行います。

 

使用者が従業員を解雇する際のリスクは決して小さくありません。しかしながら、トラブルなんでも解決屋にお任せいただければ、事前の慎重な検討から発生したトラブルへの適切な対応まで、確かな解決への道筋をお示しできます。365日24時間体制で、迅速かつ丁寧に対応いたしますので、安心してご相談ください。